• ミカド文庫について
  • 歴代天皇の略伝
  • 皇室関係の文献目録
  • 皇室関係の用語辞典
  • 今上陛下の歩み

神武天皇祭(4月3日)

じんむてんのうさい

 神武天皇の崩御を追悼する祭である。崩御相当日(旧暦:3月11日、新暦:4月3日)に、宮中三殿の皇霊殿で行われる。
 当日の朝、皇霊殿に御饌が供えられ、黄櫨染御袍をお召しになった天皇陛下は、御玉串を奉り拝礼され、御告文を奏上される。ついで、皇后陛下や皇太子殿下・同妃殿下が玉串を奉って拝礼された後、庭上の皇族方や参列者の拝礼がある。その後、「東游」という特別な歌舞や、皇霊殿御神楽が奏される。
 また、奈良県橿原市の畝傍山東北陵(神武天皇山陵)へ、侍従か掌典が勅使として遣わされる。そこでは当日、「皇室祭祀令」にみられる「山陵に奉幣の儀」が執り行われ、これには、地元の関係者も参列する。
 令和2年4月3日の神武天皇祭は、天皇陛下が、皇霊殿で「神武天皇祭皇霊殿の儀」と「皇霊殿御神楽の儀」を執り行われた後、夕方に皇居を出られ、赤坂の御所で「皇霊殿御神楽の儀」の終わる夜中まで、皇后陛下と御一緒に「慎み深く過ごされた」(産経ニュース「【皇室ウイークリー】(636)陛下、マスク姿で皇居ご訪問 ご即位で福祉事業に寄付金」参照)。
 
【コラム】「全国植樹祭」の先蹤となった「愛林日」
 神武天皇祭の行われる4月3日は、全国植樹行事と縁が深い。昭和8年に4月3日を「愛林日」とされてから毎年、この日に全国で植樹活動が行われていた。その後、先の大戦中に多くの森林が失われたので、戦後間もなく設立された「森林愛護連盟」や「国土緑化推進委員会」が、昭和25年、初の「全国植樹祭」を山梨県で開催した。それ以降、「全国植樹祭」は、毎年の公式行事として、天皇・皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、全国都道府県の持ち回りにより開催され、現在に至っている。
 ただ、今年(令和2年)5月31日に島根県で予定されていた第71回の諸行事は、新型コロナウイルスの影響で、来年(令和3年)に延期された。
 

【参考文献】(敬称略)
・所功著『「国民の祝日」の由来がわかる小事典』(PHP研究所、平成15年)、同『天皇の「まつりごと」-象徴としての祭祀と公務』(日本放送出版協会、平成21年)
・皇室事典編集委員会編『皇室事典 令和版』(KADOKAWA、令和元年)
・「聖上 皇霊殿に出御 神武天皇祭を御親祭」(『神社新報』令和2年4月13日号)

(G)