• ミカド文庫について
  • 歴代天皇の略伝
  • 皇室関係の文献目録
  • 皇室関係の用語辞典
  • 今上陛下の歩み

天皇・皇太子の成年と成年式

てんのう・こうたいしのせいねんとせいねんしき

 明治の旧皇室典範でも戦後の新皇室典範でも、天皇と皇太子の「成年」は満「十八年」と定められている。また明治42年(1909)公布の「皇室成年式令」では、「天皇成年式」と「皇太子成年式」の細式が定められている。
 それによれば、天皇として成年される場合、宮中三殿の賢所大前において「御拝礼、御告文を奏」され、ついで皇霊殿と神殿において「御拝礼」なさる。さらに「宮中饗宴の儀」が行われる。
 また、皇太子として成年される場合、賢所大前において天皇が「冠を皇太子に授」けられ、ついで皇霊殿と神殿において皇太子が「拝礼」なさる。さらに「参内朝見の儀」で天皇と皇后から「御盃」を賜り、最後に「宮中饗宴の儀」が行われる。
 この「皇室成年式令」は戦後廃止された。しかし皇太子明仁親王の場合、貞明皇后(皇太后)の崩御により一年延期されたが、昭和27年(1952)11月10日、戦前の例に準じて成年式が行われ、当日、大勲位に叙され菊花大綬章を授けられている。

【コラム】親王・王と内親王の成年と成年行事
 一方、天皇と皇太子以外の方々については、明治と戦後の「皇室典範」に「成年」は満「二十年」と定められている。この点、一般国民の成人年齢が満二十歳から満十八歳に引き下げられることになった現在、整合性を検討する必要があろう。
 また「皇室成年式令」には「親王成年式」の細式が定められ、「王成年式、之に準ず」として皇族男子(親王と王)の場合が示されている。それは、まず勅使から「冠を賜ふの儀」があり、ついで「賢所大前の儀」において「拝礼、告文を奏」し、さらに皇霊殿と神殿において「拝礼」した後、「参内朝見の儀」がある。
 この成年式令は、戦後廃止されたが、戦前の例に準じて成人行事が行われている。具体的には、昭和55年(1980)2月23日皇孫として満20歳になられた徳仁親王は、「親王成年式」に準じて大勲位に叙された。また、弟君の文仁親王も、さらに三笠宮家の三親王も、先例に準じた成人行事が行われている。
 それに対して、皇位継承の資格をもたない皇族(内親王・女王)は、成年式令に規定がない。しかし、平成元年(1989)に満20歳となられた紀宮清子内親王は、昭和天皇の諒闇中につき1年延びたが、翌2年3月、勲一等宝冠章を授けられ、宮中三殿に拝礼された。また秋篠宮家の眞子・佳子内親王も、当日、宝冠大綬章を授けられ、さらに三笠宮家の二女王は勲二等宝冠章、高円宮家の三女王は宝冠牡丹章を授けられている。
 従って、本日満19歳を迎えられた敬宮愛子内親王も、来年12月には、宝冠大綬章を授けられ宮中三殿に拝礼されることになるとみられる。

(後藤真生)

【参考文献】(敬称略)
・皇室事典編集委員会編『皇室事典 令和版』(KADOKAWA、令和元年)
・宮内庁HP「ご即位・立太子・成年に関する用語」https://www.kunaicho.go.jp/word/word-sokui.html