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令和3年「天皇誕生日」の御発言より

令和3年3月1日

令和3年(2021)2月23日の「天皇誕生日」に公表された御発言から、管見により特に重要と拝する数ヶ所を抄出させて頂く。これは2月19日、赤坂御所で宮内記者との御会見において示されたものである(宮内庁HPに全文掲載)。


(イ)「これまでの歴代天皇のご事蹟をたどれば、天変地異等が続く不安定な世を鎮めたいとの思いを込めて奈良の大仏を作られた聖武天皇、疫病の収束を願って般若心経(はんにゃしんぎょう)を書写された平安時代の嵯峨天皇に始まり、戦国時代の後奈良天皇、正親町天皇など歴代の天皇はその時代時代にあって、国民に寄り添うべく、思いを受け継ぎ、自らができることを成すよう努めてこられました。」

(ロ)「皇室の在り方や活動の基本は、国民の幸せを常に願って、国民と苦楽を共にすることだと思います。そして、時代の移り変わりや社会の変化に応じて、状況に対応した務めを考え、行動していくことが大切であり、その時代の皇室の役割であると考えております。(中略)
今しばらく、国民の皆さんが痛みを分かち合い、協力し合いながら、コロナ禍(か)を忍耐強く乗り越える先に、明るい将来が開けることを心待ちにしております。」

(ハ)「このような状況の中で、人々とのつながりを築き、国民の皆さんの力になるために、私たちに何ができるかを考え、宮内庁とも相談して、オンラインでの交流の可能性が検討されました。(中略)
このオンライン訪問には、感染症対策としての利点以外にも、同時に複数の場所にいる人々に会うことや、中山間地域など通常では訪問が難しい場所でも訪問できるという利点があることを実感いたしました。(中略)オンラインによる活動に新たな可能性を見いだせたことは、大きな発見と言えます。」

(ニ)「愛子は、(中略)早いもので今年の12月で成人を迎えます。愛子が誕生した時の会見でも申しましたが、孟子の言葉を参考にした「敬宮」「愛子」という名前には、人を敬い、人を愛してほしいという、私たちの願いが込められています。(中略)
今後、成年皇族として公務に当たっていくことになりますが、感謝と思いやりの気持ちを持って、一つ一つの務めを大切に果たしていってもらいたいと思います。」

(ホ)「この苦難に直面しての我が国の国民の忍耐力や強靱(じん)さに感銘を受けるとともに、この1年でとても多くの「感謝」の気持ちを感じたことも印象に残ったこととして挙げられます。(中略)
長引く感染症の流行への対策を継続することは努力を要します。自らのできる範囲で感染の拡大防止に努める多くの皆さんに感謝いたします。(中略)
皆さんお一人お一人が、人知れず続けている努力を多といたします。」

【参考文献】(敬称略)
・宮内庁HP「天皇陛下お誕生日に際し(令和3年)」(https://www.kunaicho.go.jp/page/kaiken/show/43