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皇后(皇太后・太皇太后)

こうごう(こうたいごう・たいこうたいごう)

 「皇后」は天皇の嫡妻である。『古事記』によれば、複数の「后」(きさき)のうち、嫡妻を「大后」(おおきさき)と記している。それが7世紀代から「皇后」と称されるようになったとみられる。「大宝(養老)令」および『令義解』(注釈書)によれば、「天子の嫡妻」を「皇后」、また天皇の御母(実母・養母)を「皇太后」、さらに御祖母を「太皇太后」と云い、三者を「三后」とか「三宮」と称した。その敬称は「殿下」であったが、明治以降「陛下」に改められている。
 その皇后に立てられるのは、「大宝(養老)令」で「内親王」(皇女)を原則とした。しかし、仁徳天皇(5世紀初め)の大后は葛城襲津彦の娘と伝えられ、また聖武天皇(8世紀中ごろ)以降の皇后は藤原氏出身者が極めて多い。明治の「皇室典範」では、皇族か上級華族に限られているが、戦後その制約を廃し今に至っている。
 なお、令制では天皇の配偶者として皇后以外に「妃」(おもに内親王)・「夫人」(上級貴族の娘)などが置かれている。明治以降も側室を容認していたが、大正天皇は側室を置かれず、昭和天皇により一夫一妻制が確立された。

(所  功)

【参考文献】
『古事類苑』帝王部(神宮司庁)
宮内庁書陵部編纂『皇室制度史料 后妃1』(吉川弘文館)
米田雄介「皇后」『国史大辞典』(吉川弘文館)
米田雄介「皇后・皇太后・太皇太后」『皇室事典』(角川学芸出版)
所功「近代皇室の結婚儀式」『皇室事典』(角川学芸出版)