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立太子礼

りったいしれい

皇太子を立てるため、それを勅した天皇より詔が出された。平安時代初期の『貞観儀式』に立太子礼の項があり、紫宸殿の前庭に親王以下百官が参列し、その前で立太子の宣命が読まれることが定められている。10世紀初めの醍醐天皇以降は、天皇から皇太子に「壷切の御剣」を授けることも恒例となった。室町時代の後小松天皇以降中絶したが、江戸時代の霊元天皇の時代に再興され、その際、皇位継承者を「儲君」(ちょくん)としてから立太子礼を行うことになった。
明治22年(1889)の『皇室典範』では皇長子が自動的に皇太子となることを規定し、皇太子の存在を内外に示すものとして、明治42年(1909)の『立儲令』で、宮中三殿に奉告の儀、賢所大前の儀(皇太子の天皇・皇后への拝礼と天皇からの壷切御剣の授与)などが規定された。それに基づき大正5年(1916)に迪宮裕仁親王(のちの昭和天皇)が、また昭和27年(1952)に継宮明仁親王(のちの今上天皇)が、さらに平成3年(1991)浩宮明仁親王(現皇太子殿下)の立太子の儀が行われた。

(久禮旦雄)

【参考文献】
帝国学士院『帝室制度史』第四巻(第一編天皇 第二章皇位継承)(帝国学士院)
藤木邦彦「皇太子」『国史大辞典』(吉川弘文館)
米田雄介「大兄・皇太子・儲君」『皇室事典』(角川学芸出版)
所功「近現代の立太子礼」『皇室事典』(角川学芸出版)