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皇室研究にも活用したい『古事類苑』

平成31年2月11日

              道徳科学研究センター教授・研究主幹  所 功
 最近は、電子辞書などを利用することが多く、それで語義などは一応わかる。しかし、論拠となる史資料を探すには、『古事類苑』を見ることにしている。これは各冊千~2千頁前後で全30部門、洋装本51冊(総目録・索引含む)の百科史料事典である。
 その編纂の発端は明治12(1879)年、当時の文部省大書記官西村茂樹による建議にさかのぼる。西村は「人智を開き文華を盛んに」するため「類聚書の編纂」が不可欠であり、書名は『古事類苑』とすべきとした。
 この編纂事業は、文部省から皇典講究所などを経て神宮司庁へと引き継がれ、同40年完了している(出版完成にはさらに約7年を要した)。若き日の廣池千九郎博士も編纂に多大な貢献をされ、それにより以後大きな道が開かれている。
 その中でも最初に出版された「帝王部」は、天皇・皇室に関する史資料を項目(帝王通載・神器・帝号・践祚・即位・譲位・行幸・御幸・女院御幸・行啓・太上天皇・太上天皇出家・後宮出家・諡号・山陵・皇后・妃・夫人・嬪・女御・更衣・御息所・後宮雑載・皇太子・皇親・外戚)ごとにまとめてある。
 しかも近年、国際日本文化研究センターと国文学研究資料館が、それぞれ電子化を進めており、インターネット上で検索・閲覧ができるのは、ありがたい。