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本居宣長も見ていた寛政二年の光格天皇還幸行列

平成31年2月20日

          道徳科学研究センター研究員 久禮 旦雄
 平成29年(2017)6月から7月初旬まで、当センターの「皇室関係資料文庫」が所蔵する史料を中心とした特別展示「光格天皇に関する新出資料 宸筆と絵巻」を、廣池千九郎記念館ロビーで開催した。その後、関係する研究成果や情報を見いだすことができた。今回はそのうち、「寛政新造内裏還幸行列絵図」に関連するものを紹介しよう。
 まず、この絵巻に描かれた光格天皇を中心とした、寛政2(1790)年の還幸行列を、伊勢松坂の国学者・本居宣長が見ていたことを確認できた。宣長はその感激を歌に詠んでいるほか、行列の記録も残している(伊藤純「隠岐国駅鈴と光格天皇―歴史の転換をもたらしたモノ」『大阪歴史博物館研究紀要』第15号及び本居宣長記念館公式サイト参照)。
 また、早稲田大学図書館には『天皇御遷幸御行列之図』という、行列を見た人(町人か)により描かれた絵図が所蔵されていることを知り得た(同図書館公式サイトにてネット公開)。序文には「寛政三年三月」とあり、還幸行列が行われた後、絵画化・出版が行われたことがわかる。
 これらの史料から、光格天皇の還幸行列が京都の公家、江戸の武家のみならず、地方の学者・町人にまで知られ、強い関心を持たれていたことが読み取れるのである。