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令和6年の初めに為すべきこと

令和6年1月1日

                                所  功 
 あけましておめでとうございます。「令和」の御代に入って、はや6年目を迎えました。国内も海外も多事多難ですが、それを傍観者として批評するのではなく、自分に何ができるかを考え、少しでも良くなるように努力したいと思います。
 今年その初めに為すべきことは「皇室典範」の問題点を現実的に改正する取り組みです。そのために、『歴史研究』昨年12月号に掲載された巻頭随筆を転載して、ご参考に供します。

  皇室典範の現実的な改正に合意形成を

 この1年を振り返ると、4年前からの新型コロナ禍がようやく終息したおかげで、天皇・皇后両陛下をはじめ、皇嗣・同妃両殿下も、各宮家の方々も、リモートでなく国内外へ直接お出ましになり、多くの人々を慰め励まし親善を深めておられることは、まことにありがたい。
 ただ、このような皇室の公務を分担できる成年皇族の実数がだんだんと少なくなっている。そのために、筆頭宮家の秋篠宮家では、佳子内親王(29歳)が皇室を去られた姉上から受け継いだ公務などに奔走しておられる。また三笠宮家では、彬子女王(42歳)が亡父の公務を引き継ぐと共に京都で「心游舎」の活動などに力を入れておられる。ほかに、常陸宮家の華子妃殿下(83歳)も高円宮家久子妃殿下(70歳)も、お健やかであるが、決してお若くない。
 さらに、唯一の内廷皇女である敬宮愛子内親王(22歳)は、成年皇族だが学習院大学4年に在学中のため、単独公務を控えながら、父君(63歳)と母上(60歳)を身近で支えておられる。もし来春から大学院へ進まれたり海外へ留学に出られたら、同様の状況が続くことになろう。
 ところが、これらの皇族女子(内親王と女王)は、周知のとおり「皇室典範」の規定によって、一般男性と婚姻されたら皇籍を離れなければならず、一般男性を皇族として養子に迎えることもできない。そのため、皇嗣の文仁親王(58歳)の後に皇位を継承される予定の悠仁親王(17歳)が早晩結婚されるころ、若い皇族はほとんど居られないことになる。
 そこで、6年前に高齢天皇の退位(譲位)を可能にする「皇室典範特例法」を制定する際、国会の与野党合意で、「安定的な皇位継承の確保」と「女性宮家の創設」などを「先延ばしができない重要な課題」として、速やかに検討することが「付帯決議」とされた。それを承けて一昨年末に政府の有識者会議が報告書を纏めた。
 その要旨は、現実的な必要から後者を優先して「皇族女子」が婚姻後も皇族の身分を保持する」案と、前者も将来に備えて「皇統に属する男系の男子を皇族とするため養子縁組を可能とする」案である。共に若干の問題を含むが、当面この両案で合意を形成し、早急に改正を実現してほしいと念じている。